MIRAGEのストーリーは練りに練ったと言うものではなく、偶然の積み重ねが上手く働いたのだと思います。 偶然の産物をたまたま気に入ったMIRAGEとは違い、MIRAGE2のストーリーはなかなか良くできていて 「感動の超大作」みたいなものではないのですが、一人の凡人にできる最大限のことを、という感じでしんみりさせてくれました。 一番好きな場面は地下牢にむさい男の仲間と二人で幽閉された場面で、主人公がこれまた美形でもない三枚目顔で 成人用のゲームとは思えない色気もない場面なんですが(笑) 格好悪い連中が、自分を飾らずに行動するのって、なんだかいいなぁと思わせる場面でした。 いかにもな美形キャラがかっこつけててかっこわるい、というのはよくありますが、それの対極ですね。 また、MIRAGE2では一時過去の世界に戻る場面があり、 そこでMIRAGEの台詞や場面を一字一句完璧に記憶しているという奇特な趣味を持った おそらくこの世で数名ぐらいしかいないプレイヤーは「これはこういうことだったのか」と こんなマイナーなゲームの台詞を暗記していたという事態に感謝するわけです(笑) なにしろMIRAGEでは何の説明もなく、伏線ですらなく「ただの奇妙な事件」としてスルーされていたのに あんな形で拾い上げてくれるとは……と驚くばかりでした。 MIRAGE2でMIRAGEの主人公が再登場したときは異常なばかりの精神的成長に驚きましたし(※1) その時の台詞「この剣は、これを必要としている人が使うべきようです」(※2)は 個人的にはRPGの主役キャラの台詞で一番好きだ、というよりも尊敬できる台詞です。(※3) ただ、MIRAGE2の主人公はその剣を使いこなせないということと(※4) 剣を渡してくれるよりも、彼が一緒に来てくれた方が嬉しいというのが(※5) なかなか厳しい展開でした。 しかし、これは最強の魔力を巡って戦うのがかっこいいMIRAGEの話と、 いかにも一般冒険者っぽい主人公が力一杯戦う姿を見ていたいMIRAGE2の話のイメージの違いからすれば MIRAGEの主人公が来てしまっては話が台無しですし、また「最強剣を渡されても上手く使いこなせない2の主役と、 全力の半分くらいの威力になっているのにまだゲーム内最強の座が揺るがない剣」のコンビは それはそれで凸凹コンビみたいな魅力がありました。 MIRAGEの主人公にとっては「似合いすぎている」もので、MIRAGE2の主人公にとっては「不思議とよく似合う」ものでした。 MIRAGE2の最終決戦近くの場面、世界が天変地異に襲われる中で、 その元凶であるMIRAGE2のラスボスを退治するために同行する事もなく 自分専用アイテムのはずの最強剣を他人に渡して MIRAGEの主人公はどこで何をしていたのでしょう? 何の用事もないのなら一緒に来てくれた方がずっと有難いはず。 そのときは最大四人のパーティーのうち、いるのは2の主役とヒロインだけで 出てきてくれたときは「2の主役とヒロイン、1の主役とヒロインの四人で行くのか」と思ったのですが 最後の最後まで2の主役とヒロインの二人でラスボスに挑む事になります。 何か手順を間違えたんじゃないかと当時さんざん悩みましたが、1の主人公が仲間になる事はありません。 きっとその時は、天変地異に襲われる地上を守ってくれていたのでしょう。かつてのマルデュークのように。 魔力の源である剣は「あなたに必要だから」と渡してしまって。 明らかにラスボス退治より大変な事をしているのに何の説明もなく、手柄も全部譲ってくれて…… と、見えていない部分を想像するのも楽しい世界でした。 続編が出た事で、前作と新作の両方が光り輝くという素晴らしい展開でした。 続編たるものかくあるべき、というお手本ですね。 しかし、何の説明もなく放置された異常事態がMIRAGEにもMIRAGE2にもまだまだ残っていて メーカーはMIRAGE3を出す、三部作構成で次が最終回、ということを言っていたんですが あえなく倒産したらしいのです(現在は復活しましたが、昔の人は残っておらず、続編は出ないとのこと。残念です) いっそ自分の手で「MIRAGE3」を小説やRPGツクールなどで作ってしまおうかとも考えたほどなのですが、 さすがに需要もないでしょうし、細部を忘れかけているために上手くできそうにないので止めています(笑) 私がやってしまうと、旧作を褒めることに没頭してしまって、肝心の新作はおざなりになってしまいそうですし。 ※1 MIRAGEの主人公は12歳の少年で、当初は一人称「僕」でした。 物語の中で肉体だけが急成長して18歳くらいの外見になるのですが、心は幼いまま。 この体で「僕」はおかしいから一人称を変えようと思い立ち、 「私」は大人びすぎているから「俺」にしよう……という場面があります。 しかしMIRAGE2で再登場したときの一人称は「私」になっていて、それが凄く似合います。 外見以上に大人に見える人物になっていました。 MIRAGE2は前作の一年後、つまりこの時13歳。この一年間に、彼に何があったのでしょう。 ※2 物凄く大切なものを渡してしまったのですが、渡した剣を返してもらう場面はゲーム中にはありません。 MIRAGE2の主人公は、エンディングで船に乗って別の大陸に旅立ってしまいます。 その場面にはMIRAGE2の主要登場人物はほとんど見送りに来ていますが、 MIRAGEの主人公は来ていなかったので返すことができなかったのです。 MIRAGE3が出ていれば剣を返す場面があったのかも……? ※3 自分自身が持つべき専用のアイテムを渡してくれるのは、女神転生Uのルシファーもそうでした。 こちらもかなり好きです。 女神転生Uを好きになりすぎて、イメージが変わった真・女神転生シリーズには踏み込めなかったほど。 ※4 MIRAGEの主人公の一族でないと完全には使いこなせないという設定があります。 MIRAGEのラスボス・マルデュークはその剣でないと倒せないが、MIRAGE2のラスボスはどの武器でもOK。 MIRAGEでは最強剣とその一つ下の武器の攻撃力の差は物凄く大きかったが、MIRAGE2ではわずかなもの。 というわけで「やはり本人が使わないと駄目だ……」と思わせてくれました。それでも作中最強というのが凄いのですが) ※5 MIRAGEの主人公ならその剣の力をフルパワーで使えるし、なにより設定上MIRAGEの主人公の方がはるかに強いので……